長期に渡って整備が続く914。念入りな整備をオーダーしているだけに時間はかかってしまう。これもヴィンテージカーとの付き合い方ということにして、その間に、今、世界中を賑わせているポルシェ事情をレポートしよう。昨年、我々が取材したマグナス・ウォーカーを筆頭に、ナローポルシェをはじめとした空冷エンジンの一大ムーブメントが巻き起こっている。
そんなシーンを見事に決定づけたのは、今年4月にLAで行われたイベント、Luftgekühlt(ルフトカルト)。ドイツ語で“空冷”を意味するイベント名が謳うように、1998年までに製造された空冷エンジンのポルシェが一堂に集結。3回目を迎えた今回は、ミッドセンチュリーのイームズのシェルチェアを手掛けるMODERNICA(モダニカ)のウエアハウスで開催。カリフォルニア郊外のフォトジェニックなロケーションに集まったポルシェの数、何と500台を超えるほど!モータリゼーションの発達した国とはいえど、大多数はヴィンテージな域を超えヒストリックなモデルまで。年々、プライスタグが高騰していくクラシックポルシェを様々なスタイルで乗りこなす彼らの雰囲気こそ、今後のヒントといえよう。
“LUFTAUTO”
今回のルフトカルトを象徴する1台を紹介しよう。カバー画像の911がそれだ。今、カリフォルニアで話題のポルシェビルダーが、まさにドリームチームとなって作り上げたこの1台は、80年代の“ビッグバンパー”と呼ばれるベーシックな911をラリー仕様にビルドオフ。完成後、往年のラリードライバーによる迫力あるテストドライブを披露するなど、決して見かけ倒しではなく、ルックスと最新テクノロジーを搭載したスペシャル911として登場。イベント中、膵臓ガンのチャリティーとしてサザビーオークションにかけられ、現行モデルの911よりも遥かに高値で落札!空冷ポルシェの歴史にその名を刻んだのだ。
ルフトカルトのグラフィックをはじめ、LUFTAUTO仕様のポルシェ911に、MODERNICAのシェルチェアまでも手掛けるDeus Ex Machinaのクリエイティブディレクター、Carby Tuckwellに特別にコメントをもらった。
DRIVETHRU(以下、DT):今回で3回目を迎えるルフトカルトはいかがでしたか?
Carby Tuckwell(以下、Carby):未だかつて行われた空冷エンジンのポルシェのイベントの中でも、最もエンスージアストを惹き付けたイベントに違いないよ。つまり地球上でね!
DT:今回のルフトカルトで最も印象深いエピソードを教えてください。
Carby:やっぱり印象に残ってるのは、空冷エンジンという限られた車種にもかかわらず、ラッティーなオンボロなポルシェから、ミュージアムクラスのコンディションのポルシェが一度に集まったこと。それに、MODERNICAのインダストリアルなウエアハウスの雰囲気が強力なシナジー効果となって、とてつもないヴァイブスになったんだ。
DT:LUFTAUTOとしてビルドオフされたポルシェ911のお気に入りポイントを教えてください。
Carby:実は、とても普段使いにあった911なんだ。きっと理想的なデイリードライブができると思うよ。古いクルマと思って、心配しながら乗る必要は全くない。ボクなら、できるだけ頻繁にスピードハンプをジャンプしてドライヴするだろうね!
DT:次回のルフトカルトは、計画中ですか?
Carby:そう、今、まさにプランニング中なんだ。きっとまたLA郊外だろうね。東京って可能性もあるよ!
DT:もし東京で開催する時は、スペシャルな1台をビルドオフされますか?
Carby:もちろん、日本ならではなポルシェビルダーと一緒にビルドオフしたいと考えてるよ。日本には確かなポルシェシーンがあるからね!