モバイルライフの実態
今も細かいアップデート作業は繰り返されてるというが、ちょうど1年を井口さんはバンの中で過ごしている。過去に我々もTokyo Mobile Lifeと題した企画で実際にモバイルライフを実践した経験があるが、クルマの中での生活はエキサイティングである一方、特に都内のような混雑した場所を舞台にした生活は想像以上に過酷。もともと自由を求めたモバイルライフのはずが、心配事がかえって増えるような気さえしてくるほどだ。一方、井口さんはというと今も変わらず当初の予想以上にバンライフを楽しんでいる。おそらくその最大の違いは、バンが単なる居住スペースとしての役割ではなく、ライカの現像ラボとしての暗室なる機能を兼ね備えていることが大きい。
ライフラインの供給源
電力についてたずねると、100Wのソーラーパネルを2基搭載した完全なるオフグリッドを実現。12Vのバッテリーを2台と大容量モバイルバッテリーを積んでおり、室内照明や冷蔵庫は24時間使用していても問題なく使用できている。つまり、電気代は一切かかっていない。さらに写真の現像や水洗といった飲料水以外の水は、雨水をろ過して使用。聞くところによると、降り始めの雨水は大気中のゴミが混入していて清潔とはいえないらしいが、降雨後30分くらい経つと蒸留水に近い水になるという。
今もクルマに興味があるわけでは・・
バンライフをおくることは、ただひたすら世界中を旅し続けて行き着いた先の井口さんなりの生き方のソリューション。ただトラブルの多そうなヴィンテージのバンを乗りこなすには、基本的な整備方法を住込みで働いた自動車整備工場で習得したことは、いってみれば井口さんなりの“旅支度”みたいなものだろう。さて、そんな井口さんの東京バンライフをおくる上でのリアルなランニングコストを特別に教えてくれた。
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月極 駐車場 :11,000円
ガソリン代 :20,000円
コインランドリー: 5,600円 ※週に2回。乾燥機代含む
風呂 シャワー: 5,000円 ※24時間営業の大手ジムの会員費
コインパーキング:45,000円 ※大手駐車場チェーンのアプリ使用
合 計 :86,600円
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上記金額はおおよその金額であるが、主に東京23区内での目安。日常使いのため長距離よりも街乗りが中心でガソリン代は月額にすると多くても20,000円程度。洗濯はコインランドリーで週に2回。1回につき乾燥機を使うので700円程。風呂やシャワーは24時間営業の大手ジム会員になっており月額5,000円程で都内のジムの中で利用でき、おまけにエクササイズも可能に!さらに大手駐車場チェーンの会員アプリをフル活用すれば、最大料金1,500円未満の駐車場が都内にはいくつもあるので、仮に1ヶ月連続で利用したとしても45,000円程。つまり合計すると、8万円前後で都内でバンライフを行うことが可能に。井口さんは現在、介護施設の職員として勤務しており、職場までの通勤は満員電車に揺られることもなく、このベンツのバンで出勤中。勤務後はその日の気分の赴くままにバンライフをおくっている。いずれこのバンと共にユーラシア大陸を横断しアフリカの地を踏むことが今後の目標というが、その前に彼と一緒にとっておきのスペシャルコンテンツが出来ないものか我々は模索中だ。
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