Shanghai
Customs

EV中国最前線(後編)

  • 2019.5.30
  • TEXT SHOGO JIMBO
  • PHOTOGRAPH RAMON FERNANDEZ, SHANGHAI CUSTOMS

ストリートシーンも侮るなかれ
前編では、北京と上海のモーターショーを中心に中国系EVベンチャーにフィーチャーしてきたが、今回はストリートな話題をお届けしたい。先進技術を搭載したEVに対し、OZ MOTORSのようにコンバートEVを専門に取り組む注目株が実在する。それもホンダ・スーパーカブのコンバートEVを手がけるShanghai Customsというカスタムショップだ。ショップを切り盛りするのは、ニュージランド出身のバイクビルダー、マシューとイギリス出身の腕利きビジネスパートナー、アレックスの二人。今、上海を拠点にスーパーカブのコンバートEVキットをグローバル展開しはじめたばかり。我々はそんな欧米のクリエイティブ感覚の鋭い彼らに話を聞きに向かった。

Shanghai Customsのアレックス(左)とバイクビルダー、マシュー(右)。

販売台数は1億台超え
言わずと知れたホンダ・スーパーカブは、人類史上最も売れたオートバイ。本田宗一郎とその右腕、藤沢武夫がヨーロッパで庶民の足として活躍するモペッドにインスピレーションを得て、独自開発した背景がある。それがなぜここまで売れたのかと考えると、低価格で耐久性に優れるという点はもちろんだが、60年代後半の高度経済成長期、真っ只中の日本は、道路環境は今ほど整備されているわけはなく、そんな環境でもビジネスのシーンで耐えうる設計がされたスーパーカブは、日本国内の需要を満たした後も、アジアの多くの過酷なシーンにも見事にマッチしたことが大きい。アジアのみならず世界中で好セールスを記録するわけだが、それと同時に、生産された数に比例して、想像だにしない数の廃車が世界中のスクラップ場に存在することも意味する。下の画像は北米の廃車置き場に騒然と並ぶスーパーカブだ。だが、さらに下の画像のShanghai Customsの彼らが開発したDIYキットを使えば、ボルトオンでスーパーカブは「eCUB」へと生まれ変わるというのだ。