INTERFACE

《フェラーリ》初のEVで常識が変わる

  • 2026.2.10
  • TEXT SHOGO JIMBO

直感的に新しいフェラーリ
《フェラーリ》初のフルエレクトリック・スポーツカー〈LUCE(ルーチェ)〉がそのネーミングとともに、インテリアとインターフェイスのデザインを公開。注目すべきは、そのデザインを手がけているのが元Appleのデザイナーとして知られるジョニー・アイブと、伝説的なプロダクトデザイナーのマーク・ニューソンによる「LoveFrom」であること。イタリア・マラネッロが誇るフェラーリのエンジニアリングに、サンフランシスコで時代を牽引してきたクリエイティブがここで融合。その事実だけでも、フェラーリのみならず、EVの新たな幕開けを予感させる。

実際に発表された〈LUCE〉のインテリアとインターフェイスを見ると、その実力は一目瞭然だ。従来のEVが大型タッチスクリーンで埋め尽くされる一方で、〈LUCE〉はその常識を見事に裏切っている。スイッチの多くは機械式スイッチで構成され、クラシックでありながら的確にレイアウトされている。この心地よさは、偶然ではないだろう。ステアリングホイールのデザインモチーフには、往年のナルディの3本スポークステアリングを想起させ、見た目とは裏腹に、通常のフェラーリのステアリングよりも軽量に仕上げられているという。直感的に配置されたスイッチ類はF1の技術を踏襲し、ラグジュアリーEVにありがちな過剰なデジタル演出とは一線を画している。

右から:マーク・ニューソン、ジョニー・アイブ、Ferrari チーフ・デザイン・オフィサー フラヴィオ・マンゾーニ、Ferrari 会長 ジョン・エルカン、Ferrari CEO ベネデット・ヴィーニャ。

そもそも、ジョニー・アイブといえば、言うまでもなくAppleのデザインを決定づけた人物。iMac、iPod、iPhoneへと連なる一連のプロダクトは、機能や性能を習得するものではなく、直感的に操作できるよう設計されてきた。そのデザインの本質は、テクノロジーを意識させないことにある。複雑な技術を前面に押し出すのではなく、感覚の中に自然に溶け込ませること。その発想は、パワートレインやソフトウェアがハイテク化すればするほど、EVとの親和性は高くなるだろう。
一方のマーク・ニューソンは、Apple Watchの初期開発に深く関わったことでも知られ、その活動領域は航空機、家具、腕時計、そして近年では巨大なヨットにまで及ぶ。プロダクトとモビリティの境界を横断し続けてきた存在。なかでも1999年に発表された《フォード》のコンセプトカー〈021C〉は、今なお異彩を放ち、むしろEVが当たり前になりつつある現在においてこそ、その先見性が際立って見える。
〈フェラーリ・LUCE〉のインテリアに感じられるプロダクトとしての完成度や、新たなモビリティ体験としての期待は、2000年代以降、二人がAppleやさまざまなプロダクトデザインで積み重ねてきたアプローチが、まさか《フェラーリ》というブランドで結集すると誰が想像できただらろうか。そう考えると〈LUCE〉を単なるフェラーリのEVと捉えるのは、やめておいたほうがいいかもしれない。待望のエクステリアは2026年5月にイタリアで公開予定とのこと。その全貌を楽しみに待ちたい。