CHINA
NOW

EV中国最前線(前編)

  • 2019.5.23
  • TEXT & PHOTOGRAPHSHOGO JIMBO

空の次はEV?
今や世界中の “空” を制したといっても過言ではないDJIは、ドローンのトップシェアを誇るブランド。空撮という撮影技法のみならず、ドローンという存在を瞬く間に身近な存在へ導いた功績は大きい。そんな彼らは中国のブランドだ。それと同じく、電動化の波が押し寄せている昨今の自動車業界において、中国メーカーこそが、前述のドローンと同様にEVを身近なものに変えようとしている。予てより我々は中国のEVシーンに着目していた。そこで、その実態を取材すべく、昨年と今年の二度にわたり中国へ向かった。主な目的は北京と上海で毎年、交互に行われるモーターショーへの取材だが、現地の実態やストリートシーンもあわせて取材を実施。今回、特別にご同行いただいたのは、BMW E21のコンバートはもとより、日本でコンバートEVを牽引するOZ MOTORSの古川治さんと『図解 EV革命』の著者として知られる村沢義久さん。村沢さんはOZ MOTORSが手がけたe-BUGのオーナーでもあり、軽井沢でリアルEVライフを楽しまれている一人。

ディレクター神保匠吾(左)と2年にわたりモーターショー取材にご同行いただいた『図解 EV革命』の著者で知られる村沢義久さん(中)とOZ MOTORS代表、古川治さん(右)

東京モーターショーを凌ぐスケール
中国は年間新車販売台数が北米の倍以上もある世界最大のマーケット。隔年で交互に行われる北京と上海のモーターショーは、かつてクルマが憧れの存在だった頃の東京モーターショーのような活気に満ち溢れている。中国のクルマというと、人気車種のコピーモデルを思い浮かべる方が多いだろう。実際にそういった車種をいまだに会場内でみかけるが、それよりも洗練された欧米のクリエイティブチームとタッグを組んだブランドや、巨額の資本を手にしたスタートアップ企業など、もはや中国系のブランドを侮ってはならない状況にある。もはやモーターショー取材というとだいぶマンネリ化してきた我々にとって、”井の中の蛙”な気分にさせてくれたショーであったことを先にお伝えしておこう。では、まず最初に昨年の北京のショーに加え今年の上海のショーの模様と織り交ぜて注目株のブランドをピックアップしたのでご覧いただきたい。

中国とテスラの存在
最近、都内でもテスラをよく見かけるようになったが、中国ではかなりの台数をみかける。調べてみると中国市場はアメリカに次ぐ販売台数を誇る。そのためか北京と上海のショーではEVを扱うブランドの説明員からは「テスラと比べ〜」のような説明を何度も耳にした。つまり中国でのテスラの知名度とEVの需要は日本とは比較にならない。そんな需要に応えるべくテスラは初となる中国国内の生産拠点を年内にも稼働させ、より安価なプライスでセールスを始める予定。それだけでなく、従来、海外ブランドは中国企業とのジョイントベンチャー(合弁会社)でないと中国国内の生産は許されなかったが、今年1月より始まった NEV規制* によってテスラは初の単独企業として現地法人を設立。こう聞くとテスラの順調な計画にもみえなくないが、現地のショーを取材しているうちに、中国勢の迎え撃つ準備が整ったからのように思えてならないでいた。中でも「NIO(ニオ)」は数あるEVブランドの中で抜きん出ている存在だ。我々がそう考える理由を次のページで紹介したい。

新エネルギー車(NEV)規制*:中国政府は2019年より自動車メーカーに対し、生産・輸入台数の10%をEVもしくはPHVとすることを義務付けている。(ハイブリッドは対象外)もし10%を下回った場合は自動車メーカーはペナルティを支払わなくてはならない。20年には12%に増える予定。一方、EVブランドにとっては中国は世界最大のマーケットとなる。