テクノロジーが新たなアートを言語化
ボディ表面の特殊フィルムがマルチカラーに七変化するBMWのコンセプトカー i Vision Dee の発表から早1年。我々の記事の予想がほぼ的中し、その進化版がアートカーとして誕生。しかも、いい意味でその期待を裏切ってくれたのは、デジタル世代のアーティストを起用してくるのではないかと予測していたが、南アフリカの著名女性アーティスト、エスター・マラング(Esther Mahlangu)という極めてプリミティブなアフリカ民族柄をモチーフにしたユニークなアートワークを最先端のインタラクティブな表現手法へと生まれ変わられせている点に注目したい。そもそも、エスター・マラングといえば、1991年に彼女が手がけたBMW 525i(E34)のアートカーで知られ、アンディ・ウォーホルをはじめとしたBMWの歴代のアートカーの中でも異彩を放つ1台といえる。それにしてもBMWのテクノロジーに対する姿勢とデザインやアートを通じたアウトプットにはいつもインスピレーションを感じさせてくれる。今回のアートカーでいうなら、クルマのボディ塗装の概念を変えるかもしれないE Inkと開発した特殊フィルムのポテンシャルを、ダンスするかのように動く彼女の描く幾何学模様として表現することによって、本来のペインティングの概念をも変えようとしているように思えてくるのだ。
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