KEY TO
SUCCESS

未来を担う3つの潮流

  • 2024.1.17
  • TEXT SHOGO JIMBO
  • PHOTOGRAPH MIE NISHIGORI

地球と自分たちのために
持続可能な世界を実現すべく生まれた《SDGs》目標達成に向けて、新たな自動車開発の視点に的を絞った企画展『EV Now』が ミュージアムタワー京橋にて開催中。気候変動対策とカーボンニュートラルへの取り組みとして、ガソリン車の新車販売を禁止する指針を打ち出すグローバルな動きがある一方、本展では抜本的な新たなモビリティの方向性を示す多様な例として、クルマを作らない「コンバートEV」、地球環境との共存を見据えた「ゼロ・エミッションの姿勢」、世代を超えた「スローモビリティ」という大きな3つの考え方にフォーカスしている点が見所。自分ごととしてサステナブルなモビリティの世界を真剣に考えるきっかけになってくれるだろう。

e-Messerschmitt KR200

クルマを作らない – コンバートEV
世界中で急速なEVシフトが始まったことで、今や排出ガスを抑えた自動車開発や、原材料の調達から製造工程においても環境に配慮した取り組みが当たり前となりつつあります。そんな中、自動車を新たに製造するのではなく、既存の自動車をEVにカスタマイズする《コンバートEV》こそが、これからのモビリティソリューションになり得るといえます。展示車両の1957年式の「メッサーシュミットKR200」は、オズモーターズの手により2017年にコンバートEVとして生まれ変わり、現在、日本の公道を走ることができます。EVとして再生可能エネルギーを使って走るヴィンテージカーは、究極のサステナブルなモビリティといえるでしょう。(車両協力:仙台バス)

ゼロ・エミッションへの姿勢
ヨーロッパ随一の環境先進国といわれる北欧。EVの普及率は、ノルウェーを筆頭にアイスランド、スウェーデンの順にとりわけ高く、中でも自然環境への意識の高いスウェーデンで生まれた CAKE(ケイク)は、ゼロ・エミッションを徹底して取り組む電動モーターサイクルブランド。極めて軽量かつ、独自開発のユニークなトレッドパターンのタイヤを履くオフロードモデルの「Kalk(カルク)」は、森の中の環境を傷つけることなく、自然との共存を可能にする次世代のモビリティ。本展では、その軽やかさと研ぎ澄まされたデザイン性を表現すべく、宙に浮かせた演出が見応えアリ。さらに給電機能を備えた原付の電動モビリティ「Makka range :work(マッカー レンジワーク)」を会場内の充電ステーションと見立て、デスクワークやスマホの充電が可能に。災害時の電力供給など移動にとどまらない多用途な活躍が期待できるモビリティだ。両車両ともに、東京 丸の内にあるCAKE Tokyo Pop-up にて試乗が可能とのこと。

GLM Mobility Scooter

スローモビリティ
スピードへの挑戦が自動車の進化であったことに対し、その対極にあたるスローモビリティへの挑戦が新たな自動車開発のステージといえるだろう。日本では国土交通省が定める時速20キロ以下で公道を走ることのできる「グリーンスローモビリティ」の概念を中心に、都市部をはじめ、観光地やガソリンスタンドのない過疎地域で、既に運用がはじまっています。従来、高齢者向けのマイクロモビリティとして認知されていた小型モビリティの概念を、あらゆる世代が愛用できるスローモビリティとして、いちからデザインを刷新した GLM のコンセプトカー。デザインを担当したのは、Fortmarei の石丸竜平さん。世界中で話題となった本車両が、本展にて初の一般公開に。

Museum Tower Kyobashi – EV NOW
【日時】
2024年1月15日(月)〜 29日(月)
11時 〜 18時
※土日祝日定休
※入場無料
【場所】
ミュージアムタワー京橋 1F ショールーム
東京都中央区京橋1丁目7−2
(アーティゾン美術館入口左隣)