さらなるカスタムの境地へ
2018年開幕戦にて屈辱的な結果となったゼッケン50番のマシンを駆る神保と岡本ペアは、次戦に向けて早々に動き出した。セパハン&バックステップへフルカスタムしたことが仇となったわけだが、さらなる抜本的な改善を目指してマシンのアップデートを決断。目をつけたのは重心移動の要となるシート。昨シーズンまでは、スーパーカブのノーマル仕様だったため、重心移動が容易にできるコルクをベースにしたオリジナルシートを使用していた。一方、今シーズンよりセパハン&バッグステップになったことで、着座位置が安定しないことで、ぎこちない態勢でのライディングを強いられるため、ニーグリップはおろか、手首や肩、それに首の負荷が想像以上に大きかった。そんな中、神保は走り込んで行けば、そのうち慣れてくるだろうと楽観的であったが、オフロードのエンデューロレースの経験豊な岡本はそれを許さなかった。
木工レーシングシート誕生
新しいレーシングシート制作をすべく、奈良県・東吉野を拠点にするプロダクトデザイナー、菅野大門へ依頼。木工を使ったプロダクトを数多く手がける菅野監修の下、制作には同じく東吉野に工房を構える若手、木工家具レーベル「IZURU」が担当。一貫したクリエイティブな姿勢でモノ作りに臨む彼らにレーシングシートをオーダーすれば、必ずや期待以上のシートができるはずと我々は考えたのだ。開幕戦を終えてすぐに、東吉野の山深い工房へ運び込まれたマシンは、我々のフィードバックを受けてプロトタイプが作られていくこととなった。レース前に行ったシェイクダウン走行では、飛躍的なアップデートを体感!期待を胸に我々は次戦に臨んだのだった。