偶然は必然に
DRIVETHRUをローンチする前の話。横浜に本拠地を構える日産のグローバル本社にて、とある打ち合わせを終えた帰りしなのことだ。いつもなら日産リーフが充電している急速充電スタンドに見慣れない1台のクルマが滑り込んできた。それは真っ赤なヴィンテージのコンバーチブルで日産が誇る名車「ダットサン・フェアレディ」だった。一見、駐車場所を間違って迷い込んだかのようにも思えたが、そのフェアレディからドライバーとおぼしき男が一人降りてきて、慣れた手つきで充電をはじめた。私はすぐさま彼のもとに駆け寄りその正体を探った。
未来系カスタムショップ現る
彼の名は古川 治。ヴィンテージEVコンバートを専門に手がけるカーショップOZ Motorsの代表。日本でも例をみないヴィンテージカーをEVにコンバートするカスタムを生業とする人物だった。レーシーなカスタムショップや痛車やデコトラに至るまで日本固有のエキセントリックなカスタムショップは数あれど、未来を感じさせるインディペンデントなショップは少ない。古川さんとはじめて出会った時、フェアレディの隣で充電する日産リーフが正真正銘の最新EVであるにも関わらず、名車を纏ったEVコンバートこそ、我々が思い描く未来があるように感じてならないでいた。