e-PANDA

フィアット・パンダをコンバートEV

  • 2022.5.15
  • TEXT SHOGO JIMBO
  • PHOTOGRAPH MIE NISHIGORI

パンダという存在
日本車ほど生真面目でなく、ドイツ車ほど質実剛健でもない。英国車ほどジェントルでなく、フランス車ほどユーモラスでもない。イタリア車でもフェラーリやアルファロメオほど官能的でもなく、フィアットの中でもチンクエチェントほどアイコニックでもない。フィアット・パンダには類い稀なキャラクターがある。パンダの生みの親であり、カーデザイン界の巨匠、ジョルジェット・ジウジアーロも自身がデザインしたクルマの中で最高傑作と言わしめるのは、独創的な魅力がつまっているからだろう。極めて丹精なボディスタイリングとシンプルという言葉だけには収まりきれない考え抜かれたパッケージングに、軽やかな走り。一度、知ってしまうと、何台も乗り継いでしまうオーナーが意外と多いことは頷ける。事実、これから紹介するコンバートEVを経て生まれ変わった「e-パンダ」のオーナーもそのひとり。コンバートEVを手がけた オズモーターズ にとってはパンダのEVへの挑戦は2台目となるが、大幅に進化したというその全貌をスライド画像のキャプションよりご覧いただこう。

考えることは今も昔も同じ?
いま一度、パンダの歴史を振り返ってみると PANDA ELETTRA(パンダ・エレットラ)」という幻のEVモデルを発見。リンクの記事を拝読するかぎり、鉛バッテリーをリアシートとトランクの位置に搭載し、最高速は時速70キロ。航続距離は100キロで、30年も前にイタリア トリノ市内で二人乗りのシティコミューターとしてカーシェアリングされていたという。オズモーターズのe-パンダと30年前のエレットラを乗り比べることは叶わないが、今回のe-パンダの走りは至極スムーズで軽快。ボディの歪みや整備の行き届いた足回りのおかげもあって、走行時にボディが軋んだ時のノイズが気になることもなかった。(これはコンバートEVでよく感じることだが、今までエンジン音でかき消されてたいたノイズが、EVの静けさにより浮き彫りになってしまうことがよくある)

photo : FIAT|stellantis

コンバートEVキット
いま現在、オズモーターズでは、フォルクスワーゲン・ビートルのe-BUGとクラシック・MINIのコンバートEVキットを早ければ、今夏にも発売の目標で開発中だ。あくまでキットとはいってもDIY感覚でインストールすることは難しく、車検を取得する前提のため、プロユースなものだが、本格的にプロショップへのコンバートEVキットの販売が動きだせば、もう少しコンバートEVが身近になることは間違いないだろう。今回のe-パンダは専用設計ではあるが、コンバートEVキットを応用して、今お乗りのクルマかこれから手に入れるクルマをEVにする日はそう遠くないかもしれない。

 

Special Thanks:MAMARINO