前回の真冬のオープンドライブなる企画を終え、我々は、BEATに手を加える必要があることに気がづいた。その箇所は、エンジンやエクステリアのデザイン変更ではなく、エキセントリックなインテリアのテイストだ。BEATの場合、オープントップの際にインテリアは丸見えとなってしまう。
BEATが我々の元にやってきた当初、ゼブラ柄シートには、90年代テイスト満点で、あえてよいかと思っていた。しかし、DT117クーペをはじめ、DRIVETHRUのコンテンツ内に登場する様々なクルマと並ぶと、どこかズレを感じるように思えてきた・・・。
本革シート張替えのマイスター、iSMEへ
そんな我々の違和感を解消すべく、ワンランク上のBEATを目指し、我々が向かったのは、井の頭通り沿いにある、本革シート張替えの名門『iS.ME』。ハイエンドな高級車のレザーシート張替えを得意とする代表、泉さん率いるチームにビスポークに仕上げたBEATを依頼することにしたのだ。すると、わずかな時間ながら、期待をはるかに上回る仕上がりを見せてくれた。では、その模様をお届けしよう。
事前の打ち合せも済ませていたこともあって、BEATをファクトリーに入庫するやいなや、あっという間にシート2座とドアのサイドパネルを取外し。さぁ、これからビスポークが始まる!
工房に持ち込まれたシートは、まずはシート素材の型紙をおこすためにひとつひとつ分解していく。軽量のためかプラスチックを多用したシートは、軽自動車とはいっても細かい知恵が盛りだくさんで分解には手間がかかる。
シートのディテールを型紙におこすため、縫製箇所をチョークで印をつけていく。それが終わると、スポンジ素材のシートに被さっていたカバーを取外す。
バラバラにしたゼブラ柄のシート素材を型紙におこしていく。軽自動車のような極端にコンパクトなクルマは、作りの芸が細かく、2シーターとはいっても左右対称な作りではないという。
ゼブラ柄に変わる素材として、我々が選んだのは、DT117クーペと同く東レが開発した最新マテリアル「ultrasuede®」。今回はフラットな生地とパンチング加工を施した生地を合わせ技で使用。
(1).ドライバーズシートのもげていたサイド部分の補修の様子。まずはベースに使うスポンジをあててみる。(2).カッターナイフで適度な角度にサイズを大まかにカットしたら接着剤で接着。ドライヤーで急速乾燥!(3).包帯のような特殊なテープを使ってスポンジをガッチリ固定。(4).最後に特殊な伸びのよい綿を使って仕上げを。(5).三角形だったスポンジのベースが滑らかなシートのシェイプに復活。なんとこの作業、わずか10分たらず。お見事!
今回の縫製にあうステッチ4色を泉さんがレコメンド。よりシート色に近い左から2番目のカラーを我々はセレクト。こういった点がカスタムメイドならではで嬉しい。
ビスポークなBEATへのすべてのパーツが揃ったことで、本記事2ページ目では後半戦へ突入!ultrasuede®を使った仕立て作業がはじまる。