The Engine Overhaul

蘇る、若く逞しい心臓へ

  • 2015.8.31
  • TEXT SHOGO JIMBO
  • PHOTOGRAPH YUYA SHIMAHARA

クルマを人間に例えるなら、メカニカルトラブルを解決してくれメカニックの存在は、医師にあたる。となると、特定の車種を専門に扱うショップは、専門医になるだろう。そういった意味でイスズスポーツは、117クーペの専門医。メカニカルにおけるDRIVETHRUと彼らとの関係は、患者と主治医の関係だ。フィーリングを伝えて、いつも万全の処置を施してくれる。

古いエンジンを積み降ろしている姿は、まるで手術中のよう。

エンジンをオーバーホール?
さて、今回のベース車両は、どこから手を入れていくべきか。まず彼らが最初にメスを入れたのは、心臓部にあたるエンジン。というのも、試運転の段階で明らかにエンジンから異音を放っていたという。偶然にも、その時、ピストンを新品に交換したばかりの同型エンジンのストックがあり、そのエンジンを基に大掛かりなオーバーホールを施すことに決定。こういったフレキシブルな対応は、やはり専門店ならではだろう。

オーバーホールを終えたエンジンをベース車両へ積み込む。右下には、異音を放っていたもとのエンジンがみえる。

オーバーホールとは、一度、エンジンのすべてのパーツをバラバラにし、再び新車時のように組み直すこと。つまり、エンジンを各部品レベルまで分解し、消耗しているパーツは取り替えられ、再び元のエンジンの姿へ戻ることをいう。エンジンの中には長年の汚れや消耗したパーツが多くみられ、そういったパーツを一度リフレッシュすることで、“現役”時代のパフォーマンスを蘇らせてくれるのだ。

新車時と同じレッドに結晶塗装されたエンジンヘッドは誇らしげ。見栄えも立派な性能のひとつ。

こうやってみてみると、熟練の技術を習得している彼らの手にかかれば、エンジンの積み替えさえも簡単そうに見えるが、やはりコンピューターを多用した最近のクルマと違って、機械仕掛けの旧車は、各部の調整に高度な技術と時間が必要とされる。たとえ、オーバーホールを施したとしても、調子の悪い点がすべてなくなったわけではない。1つ1つ丁寧に調整していき本調子を導き出すのだ。それもこれも本物を知る彼らのなせる技といえよう。エンジンを中心としたメカニカルな作業がまだまだ続く中、さぁ、次は何をレポートしようか!?