New Horizon

〈Meyers Manx〉×〈Tuthill〉の新境地

  • 2025.8.16
  • TEXT SHOGO JIMBO
  • PHOTOGRAPH JONNY LAU, MARK RICCIONI, STEPHAN BAUER

伝説とラリーの血統
カリフォルニアが生んだ伝説のビーチバギー〈Meyers Manx(メイヤーズ・マンクス)〉が、英国を拠点とするクラシックポルシェ・911のラリー仕様を数多く手がける〈Tuthill(タットヒル)〉とのフューチャリスティックなオフロードマシン《LFG》を、モントレー・カーウィークにて発表。〈Meyers Manx〉といえば、1960年代のサーフカルチャーと共にオールドスクールなファイバーグラスのデューンバギーをルーツとし、そのスピリットは色褪せることなく今も受け継がれている。一方、〈Tuthill〉はオンロードとオフロードの両方でハイパフォーマンスなポルシェを作り続けてきた英国の名門ビルダー。近年では〈Singer Vehicle Design〉との話題作や「911 Kシリーズ」では、11,000rpmの脅威的なレッドゾーンを誇り、世界中で注目を集めるなど、常に高度なエンジニアリングで最前線にいることは間違いないだろう。そんな両者がタッグを組んだ最新作《LFG》のデザインは、初代アウディ・TTのデザインでも知られるフリーマン・トーマスが手がけ、〈Meyers Manx〉らしくカーボンファイバーのボディを纏い、〈Tuthill〉由来の“K”の称号を持つエンジンに6速シーケンシャルギアボックス、LSDを備えた4WDシステムを搭載。あらゆる地形に対応し、想像以上にコンフォータブルに走破できるセットアップとなっている。インテリアには、過酷なロードトリップにも耐えるようエアコンを装備している一方で、瞬時にオープンにしてオープンエアーを楽しむこともできる。

Meyers Manx × TuthillのLFG(左)とMeyer ManxのRemastered Classic(右)

究極のアドベンチャーへ
限定100台のみの販売だが、《LFG》のオーナーにはデリバリー後6年間にわたり、〈Meyers Manx〉と〈Tuthill〉がホストを務めるグローバル・アドベンチャーが用意されている。初年度の2027年は、〈Meyers Manx〉が世界中にその存在を知らしめた初代メキシコ1000(現バハ1000)のバハ・ツアーで幕を開ける。ちょうど2027年は、優勝から50年にあたるメモリアルイヤーとなる。

「ストップウォッチを持って競う旅じゃない。人生を変える景色と記憶を、みんなで持ち帰るための時間なんだ」と、〈Tuthill〉のリチャード・タットヒルは語る。

《LFG》は高性能なマシンであることは間違いないが、彼らが目的としているのは、ラリーに出場して勝利することではなく、今まで見たこともない景色をより多くの人と共有するために生まれた新たなアドベンチャーマシンであることがポイントだろう。地球上での旅ではあるが、気分は宇宙船にでも乗り込むつもりで参加したい。果たしてどんなオーナーが、新たなるストーリーを体験するのだろうか。