NEW
YOR’CARS’

ニューヨーカーのリアルキックス

  • 2020.10.16
  • TEXT SHOGO JIMBO, YOSHIKI ASANO
  • PHOTOGRAPH PORSCHE, AIME LEON DORE, DANIEL ARSHAM, BMW, KITH

2020年は、ニューヨークを拠点とする気鋭クリエイターのジャーマンブランドとのコラボラッシュがとまらない。どれも80年代や90年代に発売された名車をベースに、自身のブランドのデザインマナーやアートワークに落とし込んでいる。そして、単なるコンセプトモデルとして発表するだけでなく、実際にライセンスプレートを取得して、各キーパーソン自らが愛車としてステアリングを握りNYの街中を走り回っている。そんな我々が注目する3台を紹介しよう。

Aimé Leon Dore|ALD964
2020年のNYファッションウィークに合わせて発表された Aimé Leon Dore(エメ レオン ドレ)の<ALD964>。ポルシェ・911の空冷モデル「964」をベースに、同ブランドのデザイナー、テディ・サンティスが、ドイツ本国のシュトゥットガルトにあるポルシェ・ミュージアムやポルシェ・911のアッセンブリーラインを訪れて徹底的にリサーチした後、ポルシェ・クラシックの全面協力のもと完成した1台。NYにあるエメ レオン ドレのフラッグシップの外観と同じホワイトにペイントされた雰囲気は落ち着いたものだが、同ブランドの2020年秋冬コレクションと同じキャメル色のレザーとロロピアーナの千鳥格子柄ファブリックをあしらったインテリアは、エレガントな中にカジュアルさ漂わせるニューヨーカーのさりげないアクセントを効果的にみせている。その他にも随所にポルシェならではのこだわりが隠されているが、我々が最も驚かされたのは、ALD964が雪道を豪快に駆け抜けるプロモーションムービー。また同ブランドのインスタグラムのストーリーでは、時折、NYの街中をいくALD964の普段使いの様子が見れるのでそちらもお見逃しなく。

 

Daniel Arsham|930A
もはやアートシーンのみならず、ファッションシーンにおいても欠かせない存在、現代美術作家 Daniel Arsham(ダニエル・アーシャム)。2019年に発表されたポルシェ911の現行モデル 992をベースにしたアートワークにも驚かされたが、次なるアーシャムのキャンバスは自身のプライベートカーであるポルシェ・930ターボ。<930A>と名付けられたその最新作はおよそ2年の歳月をかけて制作。80年代に存在したアップルがスポンサードしていたポルシェのレーシングカーを彷彿とさせるデカールは、どれもアーシャムと馴染み深いブランドをハンドペインティングで再現。そもそもアーシャムの作品は仮想未来から眺めた考古学というコンセプトに基づいており、930Aのすぐ後に発表された<Eroded 911 Turbo>は、アーシャム作品特有の腐食加工が施されたスカルプチャー作品。限定500個は瞬く間にソールドアウトとのこと。

 

KITH|BMW M3 & M4 DESIGN STUDY
NYのセレクトショップ KITH(キス)は、数々のフットウェアブランドとのコラボレーションで常に話題となる注目のストリートブランド。今夏、渋谷の宮下パークにフラッグシップショップができたばかりだが、KITHのオーナーであるデザイナー、ロニー・ファイグのディレクションのもと、BMWのデザインスタディモデルを発表。ロニー自身の愛車でもある初代BMW M3(E30)をドイツ本国へ送り、BMWクラシックパーツの純正部品を使ってフルオーバーホールを敢行。BMWのエンブレムやMバッジは、同一フォントのKITHのタイピングに置き換えられるなどシンプルながらユニークな発想を展開。インテリアはエンボス加工を施したKITHのモノグラムレザーに張り替えられ、スニーカーカスタムに通ずるクリエイティブをみせている。あわせてお披露目となった最新モデルのBMW M4は、現行モデルには存在しないE30と同じシナバーレッドでリペイントし、E30と同じくモノグラムレザーのインテリアにて仕上げている。両モデルとも販売されることはないが、近日さらなる発表があるとのこと。それはさておき、KITHのIGTVに、ロニーをはじめNYを舞台としたBMW E30の初代M3をはじめとしたコミュニティが登場するのでぜひともお見逃しなく!

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思いを馳せた夢のクルマ
今回紹介した3人に共通するのは30代半ばであること。とすると、ベースになったモデルは、どれも物心ついた頃に注目を浴びていた最新モデルにあたる。つまり、幼少期の頃の憧れを胸に、大人になって、さらに自らのスタイルが確立した後、自慢のクリエイティブをのせて、幼い頃に夢見たドリームカーをパーソナルなものにしている点は、我々からすると、これ以上ないサクセスストーリーに思えてならない。とはいえ、カーブランドとのコラボレーションは、ラグジュアリーブランドとストリートブランドのコラボレーションで湧くファッションシーンと同様に今後も続くだろう。ただ、彼らを上回るデキはなかなかお目にかかれないように思う。

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