2012年からトヨタが毎年、Camatte(カマッテ)というコンセプトカーを東京おもちゃショーに出展している。その舞台がモーターショーでもコアなカーミーティングでもない理由は、ズバリ子供用だから。とはいえ侮るなかれ。電動モーターを搭載したれっきとしたEVコミューターである。
Camatteはこれまでに「そら(2012年)」「たくみ(2012年)」「だいち(2012年)」「57s(2013年)」「57sスポーツ(2013年)」「はじめ(2015年)」そして最新の「ペッタ(2017年)」という名で、様々なボディタイプを展開してきた。それぞれ特徴が異なり、例えば、だいちはその名前で想像できる通り、幌つきのヘヴィデューティのような外観。57sスポーツはスポーツカー然としたフォルムのフルオープン、いわゆるスピードスターのようなモデル。いずれもシャシー、パワートレインは共通で、シート構成はマクラーレンF1よろしくの3シーター(キャビンが1座で後部が2座。お父さんとお母さんが子供を後ろから見守れるというもの)になっている点は、クルマ好きの大人がそそられるポイントだろう。一方、最新作のペッタは、5種類のデザインパターンから好きなものを選び、ボディをカスタムすることができる。レーシングカーのデカールのように仕立てたり、可愛らしいロゼットやアメ車のようなファイヤーモチーフをあしらえたりと、子供の好みに合った個性が表現できる仕組みになっている。
モーターショーでも見かけないニクい演出
今年の東京おもちゃショーの会場ではCamatte Schoolとなづけられた架空の自動車学校が開設され、本格的なハンドル、アクセル、ブレーキを子供がコントロールしながら、ショー会場に設置されたコース内をちゃんと走らせることができる。まずは一連の操作をドライビングシュミレーターで学び、先のテストドライブまで辿りつくと、顔写真つきの免許証までもを取得できてしまう。
クルマは今も昔も夢のある楽しい乗り物のはず。それがどうして変わったかというと、おそらくごくありふれた存在になってしまったからだろう。日進月歩で進化し続けたことで、故障も少なくなったし、簡単に運転できるようになったし、リーズナブルに買えるようにもなった。そのおかげで誰しもが安心して、かつ気軽にクルマを所有できるわけだが、その一方で喜びや遊びは失われつつある。好きに選べて、イジれて、ドライブすることも可能なCamatteはそれを補う今あるべき英才教育のひとつに違いない。