eVITARA

スズキ初のEV〈eビターラ〉

  • 2025.10.6
  • TEXT & PHOTOGRAPHSHOGO JIMBO

グローバルモデルの必要性
《スズキ》初の電気自動車として登場した〈eビターラ〉。いよいよ本格的にEVの時代へスズキが踏み出したことを意味する記念すべき1台になるはずだが、そもそも「ビターラ」とは、国内では〈エスクード〉として長く親しまれてきたSUVのグローバルモデルのネーミング。インドの工場で生産され、日本市場をはじめ欧州にも導入される。そのためデザインやパッケージングがグローバル基準に合わせた仕様になっていることもあって、全体的に洗練されたデザインマナーが好印象といえるだろう。実車を前にすると、ヨーロッパの街並みにもすっと馴染むであろう佇まいを醸し出しているのがわかる。その走りは、SUVでいながらホイールベースに収まるバッテリーの効果もあって低重心なバランスで、特に4WDの安定したコーナリング性能も魅力的だが、2WDの軽快な走行フィーリングがスズキの車らしく、普段使いなどあらゆるシーンにフィットしそうな印象。
初のEVとして開発されただけあって、独自開発のパワートレイン「eAxle」をはじめ、インド生産といっても国産車らしいきめ細やかな車づくりが感じられる。一方、搭載バッテリーには《BYD》のブレードバッテリーを採用している点が潔い。コンパクトな車格ながら61kWhの電力量を持つバッテリーを搭載し、EVの要となるバッテリーをいちから開発するのではなく、得意とする専業メーカーのものを採用し、車体設計や走行制御に集中したといえるだろう。プライシングはスズキの軽自動車と比較するとやや高めに感じられるが、いま現在、日本国内で手に入るEVの中では、十分に検討できる1台といえる。ガラパゴスな日本市場に一石を投じる存在になってくれることを期待したい。硬派なジムニーと対極にあたるキャラクターにもなるので、スズキのモデルバリエーションを際立たせてくれるだろう。

☑︎#4|SUZUKI eVitara
★★★★★☆☆☆☆☆:INNOVATION(革新性)
★★★★★★☆☆☆☆:FEELING(フィーリング)
★★★★★★☆☆☆☆:DESIGN(デザイン)
★★★★★☆☆☆☆☆:PERFORMANCE(運動性能)
★★★★★★☆☆☆☆:SUSTAINABLE(環境性能)
★★★★★☆☆☆☆☆:UTILITY(ユーティリティ)
★★★★★☆☆☆☆☆:VALUE(コスパ)
★★★★★★☆☆☆☆:RECOMEND(レコメンド)
〔BRAND〕スズキ
〔MODEL〕eビターラ
〔POWER〕128kW
〔PRICE〕¥3,993,000 〜
〔TEST DATE〕:2025年6月18日(水)
〔LOCATION〕:千葉県袖ヶ浦