Ted Gushue

Type 7 編集長 テッド・グシュー

  • 2022.7.5
  • TEXT SHOGO JIMBO
  • PHOTOGRAPH YUYA SHIMAHARA

Tedいる場所にシーンあり
今、我々が最も注目する人物が日本にやってきた。しかもこれ以上ないタイミングの来日で、この人物の凄みを感じたほど。常に彼はあらゆるプロジェクトに関係し、我々が気になるキーパーソンに繋がり、そしてハブとなって、どんな時も先を行く。彼、以上の人物を我々は知らない。その人物とは Type 7 編集長 Ted Gushue(テッド・グシュー)。Type 7とは、ポルシェが配信するインスタグラムをベースにしたデイリーマガジン。ポルシェとはいっても、そのコンテンツは、アートやフォトグラフィー、デザイン、建築、トラベルなど、クリエイティブを刺激する情報がほとんどで、新世代のポルシェオーナーを着実に増やしている。我々も多くのインスピレーションを受けているのはいうまでもないが、そんな Ted とは前々からインスタグラムで繋がっているくらいだったのだが、実際に連絡をとったのは、DT DRIVEING SHOES 発表、直前のこと。すると、信じられないことに、まもなく日本へやってくるというのだ。それから数日後、Tedはデューンバギーに乗って我々の前に姿を現したのだ。世界中に新たなカーカルチャーをもたらすTed とは一体どういう人物なのか?DRIVETHRU 独占インタビューをお届けしよう。

東京トリップのために用意したメイヤーズマンクスのデューンバギー。滞在中のアマン東京のロビーにて。

我々が Ted の存在を知ったのは Petrolicious のエディターとして活躍していた時だった。とりわけ彼のインスタグラムの発信には、常に目を見張るものがあり、そのクリエイティビティの高さと独自のジャーナリズムで頭角を現していた。その後、Ted は Petrolicious を卒業するかのように、次のステップへ移行するのだが、Type 7 はどのようにして始まったのだろうか?

Ted : 2017年に Petrolicious を去ったのち、私はコンサルタントエージェンシーを立ち上げたんだ。当時、OOO Magazine などいくつかのプロジェクトを抱えていたが、1本のメールをハンブルグのエージェンシーからもらったんだ。それはドイツ本国のポルシェAGとのミーティングで、次世代のポルシェエンスージアストに向けたマガジンを創刊しようというものだった。7時間にも及ぶミーティングは、どうやって新世代のポルシェエンスージアストをクリエイトできるか、クルマのみならず、アートやスタイル、トラベル、建築などインテリジェントな要素を交えてポルシェを所有し、ドライブしたくなるためには、何をすべきか議論に議論を重ねたんだ。その後、数ヶ月が経った2018年のクリスマスに Type 7 はインスタグラム上で創刊したんだ。

オンラインマガジンを運営する我々にとっても Type 7の興味深い点は、インスタグラムのみの配信に的を絞っている点だ。デジタルプラットフォームを駆使したビジュアルは常に美しく、どういった意図が隠されているのだろうか?それに日々、配信される膨大なコンテンツはどのようにみつけているのだろうか?

Ted : インスタグラムの配信に絞っているのは、次世代のユーザーが確実に存在することと、我々がリーチしたいユーザーは誰もウェブサイトをみていないと考えているんだ。インスタグラムは常にシンプルでエレガントなフォーマットで、現在もあり続けている。一方、ウェブサイトはPCやiPhoneでは見え方が異なる。それにも増してインスタグラムの極めて優れた点は、ユーザーとダイレクトにコミュニケーションできる点なんだ。普通に考えて、ウェブサイトにメールしてくる人なんていないが、SNSだとそれを容易にしてくれる。その効果もあって、Type7が新たな投稿をする度に、新らたな情報がフォロワーや世界中に散らばるフォトグラファーとコントリビューターから集まってくるんだ。

Tedの活動は、Type 7 だけに留まらず、ダニエル・アーシャムをはじめ、Aimé Leon Dore や L’ART DE L’AUTOMOBILE など、世界中に影響力のあるキーパーソンのプロジェクトに常に関係しているのはどういった秘密があるのだろうか?

Ted : 雑誌の世界で仕事をはじめて10年のキャリアがある私にとって、それはとてもシンプルだよ。イベントやディナー、さらにネットワーキングのコミュニケーションを絶えず続けることなんだ。さまざまな人と常にコネクトしてフレンドシップを築く。ダニエル・アーシャムと出会ったのは2017年頃だった。彼はまだそんなにポルシェのことを知らなかったけど、彼の好奇心は並はずれたもので、そんな彼をポルシェAGに紹介し、新時代のポルシェエンスージアストとして迎え入れたんだ。

Tedが今回の東京トリップに選んだLeicaは3種。

世界をまたにかけ新たなカーカルチャーを築くTedにとって、ターニングポイントはあるのだろうか?

Ted : ティム・パパスという友人が Leica M240 を私に貸してくれた時と、マット・ジェイコブソンが Leica Q を薦めてくれた時。この2つの出来事は、フォトグラファーとしての私のキャリアに花を咲かせ、新たな世界へ連れて行ってくれた特別な瞬間なんだ。それ以来、フォトグラフィーがすべての扉を開いてくれたんだ。それはまるでクラシックカーの世界と同じように、パッションと趣味的な要素を兼ね備えているともいえる。それにフォトグラファーは常につながりを持ち続け、お互いに学び合うことがたくさんあるんだ。

彼のクリエイションの根幹ともいえるLeicaの存在。それ以上に彼のクリエイティビティのルーツとなっているのはマルティニカラーのストライプが入ったポルシェ911(930)だろう。ここ最近、ポルシェ996ターボやレンジローバーを手に入れたTedだが、さらなるドリームカーはあるのだろうか?

Ted : 私のドリームカーは、父親から受け継いだ1976年のポルシェ911Sに他ならない。父親が運転するこのポルシェで育ち、このポルシェと共に成長したんだ。今、その911をドライブしているってことは、まさに夢そのものだよ。今はさらに30歳の時に手に入れた996ターボが加わり、毎年、それぞれの車でロードトリップへ行くことを楽しみにしているんだ。996ターボではヨーロッパ中を6000kmも走破したんだ。スイスをスタートして、イタリア、南フランス、スペイン、そしてイギリスにフェリーで渡り、フランスへ。ボルドーを巡ってミラノでフィニッシュ。常にドライブは欠かさないんだ。雪山も走破できるように、レンジローバーヴォーグが加わったんだ。

 

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ビジネスとプライベートと共にライフワークとしても順風満帆なTed。今後の展開をたずねてみた。

Ted : Type7をより3次元のブランドに拡大したいと考えているんだ。より多くのデザイン、さらに多くのプロダクト、そしてより多くのイベント、その瞬間をコミュニティとしてもっと共有したいんだ。この2年間、デジタルフォーマットに集中してきたけど、これからは Type7ブランドをよりフィジカルなものにしたいと考えているんだ。特に日本やアジアで Type7 を成長させたいと真剣に考えている。DRIVETHRUとのコラボレーションを楽しみにしているよ。

Ted Gushue
ERG Media B.V. ファウンダー
Petrolicious のエグゼクティブ エディターを経て、インスタグラムベースのポルシェとのデイリーマガジン Type7 を2018年にローンチし、編集長として現在に至る。その他、スイスのサンモリッツのグローバルアンバサダーを務めるなど、常に新たな価値観を世界に発信している。
Type 7
www.instagram.com/type7/