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ヒョンデ・IONIQ 5

  • 2022.3.23
  • TEXT SHOGO JIMBO
  • PHOTOGRAPH TOMOHIRO MAZAWA

受け継がれるDNA
はじめてIONIQ 5の実車を前にした時、ある違和感を感じた。どことなく無機質なようで有機的。ローワイドなボディディメンションに、立体的なジオメトリックなプレスライン。EVである故、当然ながら静かな走りだが、パラメトリックピクセルと呼ばれるピクセル模様のランプが、どこかロボットのようで生きてるように見えるのだ。しかし、それだけではなかった。IONIQ 5のルーツを辿ると、1974年のトリノモーターショーで発表された<ポニー クーペ>というコンセプトカーに辿り着く。カーデザインの巨匠、ジョルジェット・ジウジアーロが手がけたポニークーペは、今なお、ヒョンデのブランド アイデンティティを司るカーデザインの礎として受け継がれているという。ジウジアーロといえば、数ある名車を多く輩出しただけでなく、我々にとってはいすゞ・117Coupeとして馴染み深い。そんなIONIQ 5とは、どんなクルマなのか?

ジウジアーロによるポニークーペのデザインスケッチ

ヒュンダイの呼び名から韓国読みに世界統一したヒョンデ。ここ最近のEVスタートアップのブランドと比べ、ヒョンデは歴史あるブランドともいえるが、半世紀以上の歴史を持つ大手自動車メーカーと比べると、その歴史は比較的、浅い。一方、後発ゆえの戦略としてカーデザインに入れる意気込みは高く、ベントレーやランボルギーニといったハイエンドなブランドで実績を積んだデザイナーが数多く在籍。東京をはじめ世界の主要都市にデザインセンターが設けられ、グローバルなマーケットに沿った開発が行われている。

まる1日、IONIQ 5をドライブする機会を得たので、まずは走り慣れた都内の街中を走ってみる。今回、Anyca Official シェアカーを特別にお借りしたが、免許証をリーダーにかざすだけで無人でピックアップすることができ、特に何の説明をされずとも、操作に困ることなく走り出すことができた。EVらしく、その静けさと加速力がもたらす異次元の移動空間は、都会の喧騒を遮断しているようで心地よい。お昼前だったこともあり、ランチついでに近くの日産ディーラーの急速充電を手短に済ませ、いざ首都高へ。レインボーブリッジを超え、羽田空港を通過。やや乱暴なアクセルワークで走行するも、過剰にバッテリー残量が減る気配なし。バッテリーゲージを気にせずに安心して高速巡航することができた。床下に敷き詰められたバッテリーは、安定した走行性能と何よりキャビンの安全性に貢献している。聞けば、IONIQ 5のホイールベースの長さはトヨタ・アルファードに匹敵し、見た目こそハッチバックのようなシルエットだが、そのパッケージングはかなり異なる。連続するコーナーのある箇所を走行していて気づいたことだが、IONIQ 5のステアリングに備わるパドルシフトでは、回生ブレーキを3段階に調整することができ、エンジンブレーキを調整する感覚で走りを楽しめることにも好感がもてた。

EVだからできること
IONIQ 5の特徴は他にもある。満充電で600km以上を誇る航続距離※ だけあってバッテリー容量は十分。そんなリチウムイオンバッテリーに蓄えた電力を外部へ給電する機能が備わる。これは日本車のEVには多く備わる機能だが、海外のEVでは少ない。V2H(Vehicle to Home)では、IONIQ 5の電力を自宅に給電することができ、一般的な日本の家庭の電力だと単純計算で5日分に相当するという。もしも夜間電力でIONIQ 5を充電し、日中はその電力を家庭で使えば節電になるだろうし、停電時や災害時には多いに役立つことだろう。
もっと個人レベルのスケールの話をすれば、V2L(Vehicle to Load)では、最大1.6kWの消費電力の例えば、パソコンやドライヤー、プロジェクター、電動キックスクーター等の充電などを、IONIQ 5の電力で充電することができ、リアシート下の充電ポートは走行中でも使用できる。つまり、オフグリッドなライフスタイルに直結し、移動時間やアウトドアなフィールドでも、クルマとの過ごし方が根本的に変わろうとしているのだ。

※ バッテリー容量が72.6kWhの「IONIQ 5 Voyage」または「IONIQ 5 Lounge」の場合

カーシェアかオーナーか
IONIQ 5のオーダーは5月よりオンラインのみで開始。本格デリバリーは今夏になりそうとのことだが、すでにAnycaではオフィシャルシェアカーが都内で14台もシェアリング可能。年内には100台もの台数が導入されるというが、まずは、カーシェアでのドライブがオススメ。かなりの数のIONIQ 5が都内のあちこちでシェアできるのであれば、わざわざオーナーになる必要もないかもしれないが、オーナーになれば、予約状況を気にせずに乗れるし、私物を置いたり自分仕様にもでき、もっと気ままに乗れるだろう。我々なら、V2Lしながら日本全国を旅してみたい。できればヒッチメンバーを装着して、またトレーラーを牽引してのロードトリップは新たな発見が多くみつかりそうだ。

▪︎Hyundai IONIQ 5
www.hyundai.com/jp/ioniq5

▪︎AnycaでHyundaiを体験しよう!
https://anyca.net/p/hyundai