IKEBANA NOW – DAY1

花道家、上野雄次と限界号の作り方①

  • 2015.5.2

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湘南国際村の『森と畑の学校』を舞台に始まる本プロジェクト。本日より花道家、上野雄次さんと共にDRIVE THRUチームは、キャンピングトレーラー、ルーメットを率いて現地入り。これから2日間の怒濤のスケジュールで、生け花とクルマを融合した「花いけ限界号」を作り上げるのだ。まずは初日の本日は、Katersのホンダ・バモスの周辺に足場を作り、花いけ前の本格的な準備に徹する。
PHOTOGRAPH : YUYA SHIMAHARA, YUKO KOTETSU TEXT : SHOGO JIMBO

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森と畑の学校』は里山の美しさを取り戻すために畑を通して新しい農業モデルを実践しているフィールド。本プロジェクトでは、15,000坪にも及ぶこの広大な敷地内に生息する木々をもとに花道家、上野さんが生け花を表現するのだ。

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2日間の短期間での制作となるため、夜を徹しての作業となることを考え、ルーメットと共に現地入り。当日の天気予報は良好だが、きっと万が一の天候悪化やエマージェンシーの時に役立つだろう。何よりも単純にルーメットがあるとその場の雰囲気をワクワクさせてくれるのだ。

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まずは足場を竹で制作
クルマの屋根の上で植物をいけるには、車両を取り囲むように足場が必要だ。まずは、敷地内から集めた竹を使って、足場を制作。中国では、今でも建築現場で竹を使った足場を作っていると聞くが、間近でみるのははじめてだ。独創的なクリエイションは、いつも制作過程においてもウィットに富んだヒントが見受けられる気がする。

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ケタ外れのルーフキャリアの数
通常、2本あれば事足りるはずのルーフキャリアの数は6本!法定内の重量物とはいえ、出来る限り頑丈に積載するならキャリアは多いに超したはことない。支点にかかる力の分散を考えて、細かなセッティングが続く。

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竹の足場やルーフキャリアを装着している間にお昼になったので、ランチは園内のみなさんとご一緒することに。過密スケジュールであっても園内の和やかな空気に包まれ、スタッフ全員、程よく緊張感がほぐれるのだった。

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園内のマスコットのヤギも木陰で一休み中だ。

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お昼が済んだ後は、バモスのルーフキャリアにマウントする土台作りを開始。車体のサイズや完成時の車高や車幅、全長を左右するので細かな配慮が必要だ。

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クルマの屋根に剣山?
完成した土台をバモスのルーフへ装着。ちょうどこの状態だけだと選挙カーの櫓(やぐら)に見えるが、生け花で言うところの “剣山” にあたるのだろうか?

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午前中に制作した竹の足場へバモスを移動。2段目の足場の高さがバモスの屋根と同じ高さだったり、櫓のてっぺんと竹の足場の頂上も同じ高さなのがおわかりいただけるだろう。

花いけ、はじまる
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では、下準備が完成したところで、上野さんの本格的な花いけ作業がはじまる。敷地内で見つけた選りすぐりの木々を大胆にカッティング。これから花いけ限界号の骨格となっていく。

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実際にクルマに当ててみながらサイズ感を調整していく。自らの背丈を超える木々を悠々と扱う上野さん。

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足場の上に上がって木の枝と蔓が絡んだ木々をいけようとしているところ。上野さんの頭の中にある青写真のみが頼りだ。

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上野さんを少しでもサポートするべく、足場の下から木々を手渡しするDRIVE THRUスタッフ。地上から手渡しするスタッフよりも足場の上にいる上野さんのほうが素早い身のこなしだ。

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上野さんの花いけスイッチが入ってくると、日本舞踊とも言うべき華麗な舞が始まった。限界号のルーツ、花車もきっと同じ生け花の瞬間があったに違いない。

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日の入り近くなるにつれ、上野さんの手さばきは加速。夕暮れ前の太陽のスピードが目視できるように、わずか数時間で完成像が着々と姿を現して来たのだ。

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日が沈んでほのかな光の中でも上野さんの花いけは続く。みるみるうちに船のようなシルエットがみえてきた。

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日中は20度を上回る気温とはいえ、まだ5月初旬の夜になると冷え込みが強くなってきた。明日は夜明けと共に花いけを開始すべく、ひとまず今晩は月明かりが美しい夜の下、皆でキャンプすることに。後から駆けつけたDTレンタカーのイスズ117クーペも加わり夜明けまで各自就寝。雲ひとつない夜空をみる限り、明日も天気は良いはずだ。