Forester

スバル・新型フォレスター

  • 2025.11.14
  • TEXT & PHOTOGRAPHSHOGO JIMBO

日本の正統派SUV
《スバル》の車には、日本人特有の生真面目さが宿っている。飾らず、誠実で、どこか不器用なほど真っ直ぐ。そんな人柄みたいなものが見え隠れするのが最大の魅力だろうか。特にスバルが国内のみならず、北米で長く愛されている理由のひとつには、そんな控えめながら信頼がおける存在として確固たる地位を築いてるのではないかと思える。新型〈フォレスター〉の取材には、開発責任者の只木さんが直々に解説してくれた。まず、開口一番に「正統派SUV」と紹介されたことにハッとさせられた。あくまで我々の先入観だが、〈フォレスター〉はデビュー以来、車高の高いステーションワゴンというイメージが強く、SUVという認識は薄かった。大きすぎず、小さすぎず、誰にとっても扱いやすい独自のサイズ感を維持しながら進化してきた車に思える。ある種、孤高の存在があらためて再定義されることで、新型への興味関心を際立たせてくれた。
新型〈フォレスター〉の特徴を決定づけているのが、開発アプローチが従来とは大胆に変わっていること。先代までの流れを大胆に変えるべく、デザイン先行でプロジェクトがスタートし、最初にコンセプトを描き、そこへエンジニアリングを最適化していく新たな手法が取り入れられたという。結果として、モダンな佇まいとフォレスターらしい頑丈さを兼ね備えた新時代の姿が誕生したといえるだろう。まず運転してみて感じたのは「走り」や「乗り心地」以前に、「運転しやすさ」にスバル車らしさがあること。煩わしいものを徹底的に排除したというフロントスクリーンからの眺めは、単純に見晴らしがよく、気分がよい。さらに新型よりハイブリッドとなったスバル伝統のボクサーエンジンには、高出力なモーターが組み合わさりノンストレスなパフォーマンス。燃費にも優れた「ストロングハイブリッド」と他に、ガソリンのモデルもある。スバルといえば、安全性能も見逃せない。新世代の「アイサイトX」による運転支援もより自然で滑らかで、さらに歩行者保護エアバッグが世界初のサイクリストにも対応した進化版となり、ドライバーとパッセンジャーのみならず、歩行者への配慮も忘れていない。
〈フォレスター〉の魅力をさらに高めたモデルとして『ジャパンモビリティショー2025』で発表となった「WILDERNESS(ウィルダネス)」のプロトタイプがある。WILDERNESS とは北米のみ存在するオーバーランドな雰囲気のグレードだが、いよいよ国内での展開が前向きに検討されているという。新型フォレスターでは開発段階からWILDERNESS仕様を想定してデザインされていたというだけあって、取ってつけた感じがなく、ボディプロポーションや樹脂パーツがバランスよくまとめられている。海外でみかける目を惹く《スバル》が、日本でも手に入れられるのは単純に嬉しい。程よいさじ加減で整えられたニュー・フォレスターは、ハイスペックなアウトドアウェアを普段使いするように、シティユースにもうまく日常に溶け込む1台といえるだろう。

☑︎#5|SUBARU Forester
★★★★★☆☆☆☆☆:INNOVATION(革新性)
★★★★★★☆☆☆☆:FEELING(フィーリング)
★★★★★☆☆☆☆☆:DESIGN(デザイン)
★★★★★☆☆☆☆☆:PERFORMANCE(運動性能)
★★★★☆☆☆☆☆☆:SUSTAINABLE(環境性能)
★★★★★★☆☆☆☆:UTILITY(ユーティリティ)
★★★★★☆☆☆☆☆:VALUE(コスパ)
★★★★★★☆☆☆☆:RECOMEND(レコメンド)
〔BRAND〕スバル
〔MODEL〕フォレスター
〔POWERTRAIN〕ハイブリッド(or ガソリン)
〔POWER〕118kW(エンジン)/88kW(モーター)
〔PRICE〕¥4,048,000 〜
〔TEST DATE〕:2025年10月9日(木)
〔LOCATION〕:東京都渋谷区