HELGE
SKODVIN

ボルボ240と北欧の関係性

  • 2018.2.28
  • TEXT SHOGO JIMBO
  • PHOTOGRAPH HELGE SKODVIN (INSTITUTE)

北欧のマスコット的存在
とりわけ四角いボディシルエットでつい目がとまってしまうクルマ、ボルボ240シリーズ。今となっては北欧デザインに通ずる名車として認知されているが、もとは70年代の高性能なクルマが持て囃される時代に、安全性と信頼性を最優先したちょっと地味なクルマ。そんな背景も踏まえ、ノルウェーを拠点にするフォトグラファー、Helge Skodvin(ヘルゲ•スコドヴィン)がまとめた写真集『240 Landscapes』は、写真の中にボルボ240が必ず1台写り込んでいるという、まるで “ウォーリーを探せ” とでもいうべき1冊。

Volvo 240.
A Volvo 240 car is parked outside a house.

Helgeがとらえた美しいノルウェーの四季折々の景観の中に、必ず映し出されるボルボ240との風景は、なぜか哀愁ただよう。20年近く生産され続け、ベストセラーとなったボルボ240は、北欧では何処にでもある光景。Helgeはそんな景観をどこか“社会民主主義的”という。その訳は、かつて北欧の人々の傾向として、新車を買う時の決め手は、ハイスペックなモデルというより、従来と変わらず安心して乗り続けられる保守的なところがみられたという。(実際にHelgeのお祖父さんは3台ものボルボ240を新車で乗り継いでいたとか。)そんなHelgeが撮り収めたフォトグラフィーの数々は、ほんのわずかにボルボ240のバンパーの先端が写り込んでいたり、時にはカーカバーを被っていたりと長く愛され続けたクルマをユーモアを込めて表現している。本書を手にとってみてみれば、ページをめくる度にいくつものストーリーが楽しませてくれるだろう。

Helge Skodvin
ノルウェー、ベルゲン在住のフォトグラファー。
ライカ オスカー・バルナックアワード ノミネート作家
http://www.helgeskodvin.no