JUN
IWASAKI

かつて日本で愛されたクルマは今

  • 2017.3.30
  • TEXT & PHOTOGRAPHJUN IWASAKI

日本のクルマの未来?
9000km南へ南太平洋を渡った先に、日本のクルマの未来があるのはご存知だろうか。いや、過去というべきか。それはニュージーランドである。日本の3/4くらいの国土に450万人ほどの人々が心地よい壮大なランドスケープと自然とのよい距離感を保ちながら暮らしている。ニュージランドのクルマ事情はあまり知られていない。いや、ニュージランドは羊やフルーツといったイメージしか知られておらず、文化面を知る人はほぼ皆無に等しい。若者は活発で見たこともないような新しいクリエイションを見ることだって出来る。ニュージーランドは完全なクルマ社会である。一家に1台どころではなく、一人1台ほど車を保有している。その一方、国内で自動車は作られていないため全てが輸入車になる。それらの多くが日本からの輸入である。トヨタ、日産、ホンダ、三菱など日本車が支流。その理由は、単純に故障しないから。イギリス領だったこともあり、ニュージーランドにはイギリス文化が色濃く残る。例えば、車道は左側走行になり右ハンドルが一般的。そのせいか、ほとんどのヨーロッパ車も右ハンドルで、それらの多くも日本から輸入されたものが多いという。
日本では10万キロ近くなると替え時だとよく耳にするが、実際に役目を終えて買い替えられたクルマが、その後に何処へいってしまったかはあまり知られていない。ニュージーランドでは、そういった10万キロを越えたクルマを、「いい走行距離だね、これからだね」なんて声をよく耳にする。つまり、かつて日本で愛車として可愛がられたクルマは、はるばるやって来たこの地で、第二の人生を歩んでいるのである。そう考えると、なんだか愛車の未来を感じれたようで嬉しくなってしまうのは僕だけだろうか?

Jun Iwasaki(岩崎 淳)
オークランド在住の写真家。
国内外のメディアへの寄稿やビジュアルデザインを中心に活動中。
http://juniwasaki.org