月曜日の朝に届いたメールをチェックしていると、すぐに目に留まったのは、鮮やかブルーのクラシックカーと白いヴィンテージのツナギに身を包んだおじいさんと孫の姿。クルマの車種が何かよく写真を覗いてみると、子どもが着ているツナギのバックプリントからして、TALBOT(タルボ)のようだ。それと同時に目に写り込んできたのは、おじいさんが手に持つ一眼レフ。そのストラップには “NIKON” の文字が! ひょっとしてコレ、今?
PHOTOGRAPH: FURUI KURUMA, TEXT: SHOGO JIMBO
メールをみると、バルセロナで週末に行われたばかりのクラシックカーレース「Rally Sitges 」のレポートだった。前もってイベントが行われていることを知らなかったので、週明け早々に飛び込んできた朗報に一気に目が覚めたのだった。
さて、このレースイベント、バルセロナをスタートして、地中海の沿岸を南西に向かったリゾート地「Sitges(シッチェス)」をゴールにした公道レース。距離にしておよそ40Km。大した距離ではないではないかと思うことなかれ。エントリーするには、1928年以前に製造されたクルマ。つまり、87年以上も前のクルマでないと参加できないのだ。上の画像はスタート直前にバルセロナ市役所前に集まるエントリー車両たち。建物もクルマも、もはやタイムスリップしたかのようだ。
年式以外にもう1つ義務付けられるているルールとしてドレスコードが定められている。その内容は簡単。当時に相応しい服装での参加なのだ。となると、バイクでの参加になれば全身抜け目なく当時のコスチュームに身を包まなくてはならない。けれども、スーパーヴィンテージのBMWのバイクオーナーともなれば、レザーのヘルメットやゴーグル、白いスカーフに至るまで完璧なコーディネートで参戦できるものなのだ。DT的には、タンデム(2人乗り)で参加されている点に心を打たれてしまう。
スペインならではなエントリー車両を発見!バルセロ創業のラグジュアリーカーブランド「Hispano-Suiza(イスパノ・スイザ)」。現在も尚、フランス籍の会社として現存するが、戦前までスペイン製の高級車として広く知れ渡っていたという。戦前っていっても、70年も昔の話。やはり日本車との自動車の歴史のレベルを痛感させれてしまう。
ヴィンテージ・カーでドライブスルー!?
レースがはじまり、バルセロナの街中を走り抜けるエントリーカーたち。本レポートでは、DRIVE THRUならではな場所でのスナップフォトなのが嬉しい。よく写真をみてもらうと、マクドナルドの前なのだ!
(左上)トップ画像のイギリスの名車「TALBOT(タルボ)」と白いツナギの親子。鮮やかなブルーのボディーは街中でも健在だ。(左下)真っ赤なボディのバルセロナが生んだ高級車「Hispano-Suiza(イスパノ・スイザ)」。オーナーらしき家族は、ギャングのような出で立ちだ。普段使いのクルマが気になる。(右上)バイクでのエントリーも多数参加。クルマと違って、バイクは彩色があまりないことがわかる。ミリタリーだったりと実用面が強かったのかもしれない。(右下)“エレガント”って言葉をそのままクルマにしたらこうなるのかも!? ネイビーのボディーカラーの上品さもさることながら、ベージュのスーツを纏った白髪のジェントルマンが、ステアリングを握ったらこそ完成形といえよう。ちなみにこのクルマはベントレー。
ボディーやパーツの隅々までビビッドなイエローにペイントされたFordのヴィンテージカー。細部に見えるゴールドのメッキパーツといい、オシャレな1台だ。
普通に考えて、博物館に展示されていてもおかしくないスーパーヴィンテージなクルマたち。およそ100年近く前のクルマとなると、テクノロジーやデザインもまだまだ未熟な点が多いはずなのに、オーナーはもちろん、街行く人を魅了するのは、並々ならぬ先人たちのドラマが感じ取れるからだろう。DRIVE THRUとしても今回のスナップフォトを眺めてるだけでも愉快な気持ちにさせてくれるのだ。今後、本記事で紹介しきれなかったスナップフォトは、インスタグラムとフェイスブックより配信予定。何事にも通ずる温故知新なインスピレーションが隠されているに違いない!
Special Thanks: KENTARO CHOCHI