COMMUNE246へのルーメットの搬入が終わり、日中の現場工事と平行して次に民具木平が取り掛かったのは、客室内の照明。あくまでもCARAVAN TOKYOは、クルマなので走行を意識して軽さを重視しなけばならない。一方で軽いからとはいって、安っぽくみえたり、カーボンファイバーといったスポーティーな素材を使った空間にしてしまうと、どうも落ち着きのない空間になってしまうだろう。様々な制約の中、撮影スタジオでみられるトレーシングペーパーのディフューザーをモティーフに、今回はオリジナルで紙製のランプシェイドをつくることに。身近で見慣れた素材もアイデアと手を加えれば立派な道具になることが、現代民具のフィロソフィーなのだ。
PHOTOGRAPH TEPPEI NOMOTO TEXT: SHOGO JIMBO
まずは、コピー用紙でスタディ。
夜な夜なさまざまな角度を試す。それと同時に照明パーツも試行錯誤を繰り返す。
次は画用紙などのいろいろな紙を試す。ランプを吊るすコードには、日本の冬を支える炬燵(こたつ)のコードをセレクト。赤に白いドット模様の入った電気コードが日本全国の家庭にどこにでも存在することは、とてもオシャレなことに思えてくる。
民具木平の夜なべはまだまだ続き、赤い糸を使ってハンドステッチング。そうこうしているうちに、気付いたら朝に。ピッチの正確さに緊張感があって気持ちいい。電球もいろいろ試す。シェイドと電球のバランスにも民具木平のセンスを感じることができるだろう。
今回の最終型は、厚手のトレーシングペーパーを採用。トレペのシェイドからやわらかな光がこぼれてくる。炬燵コードと相まって、CARAVAN TOKYOの室内に温もりをもたらしてくれるだろう。