今やクルマのサウンドシステムというと、Bluetoothによるミュージックプレイヤーとの同期にはじまり、プレミアムカーブランドの純正オーディオには、BOSEをはじめ、BANG & OLUFSEN、harman/kardonなどなど蒼々たるブランドが名を連ねる。その進化や選択の余地は計りしれない。ただ、ここでのゴールは、如何に心地よいサウンドでドライブを楽しめるかということ。
一方、まったく違うベクトルで楽器メーカーとのコラボによって、より一層、ドライブを楽しませてくれるクルマが今秋、誕生する。もはやクルマそのものが楽器になると言っても過言ではない!
TEXT : SHOGO JIMBO
幻の国産スポーツカーをEVで復活
京都を拠点とする「GLM」は、幻の純国産スポーツカー『トミーカイラZZ』をEV(電気自動車)として復活させたベンチャー企業。排気ガスを出さず環境に配慮したEVでありながらも走りを追求した姿勢は、紛れもない次世代スポーツカーのあるべき姿だ。
日本初の量産EVスポーツカー「トミーカイラZZ」。時速100kmまでに達するのにかかる時間は、わずか3.9秒!
EVは電子モーターによるパワートレインのおかげで、車内は信じられな程にサイレント。その反面、サルーンのようなカテゴリーのクルマならまだしも、ダイナミックなフィーリングを味わいたいスポーツカーともなると、やや物足りないのは言うまでもない。そこで今回、電子つながりとも言うべく、シンセサイザーやBOSSのエフェクターでお馴染み「Roland」とGLMがタッグを組み、EVスポーツカーに相応しい近未来サウンドを開発したというのだ。
シンセサイザー技術を応用した異次元サウンド
オプションとして登場するRolandのサウンドユニットは、トミーカイラZZのシート背面に搭載。走行音をリアルタイムで近未来なサウンドへ合成するのだ。
Rolandの最先端なシンセサイザー技術を駆使して、トミーカイラZZの走行時に発生する加速やモーターへ負荷のかかる音をリアルタイムにエフェクト。つまり走行音という “生音” をより迫力ある “電子音” へと変えるのだ。プレス発表会でのRolandの開発者からのコメントによると、かつて電子楽器が登場した際、多くのミュージシャンから「果たして生音を超える音が必要なものか?」と、疑問の声が上がったという。しかし、近年のアーティストの楽器を見渡してみると、エレキギターはもちろんのこと、シンセサイザーなど電子楽器に溢れている。感性を司る音楽シーンでの電子音の成功は、きっと感性を刺激するスポーツカーにも通じるのではないか!というのが彼らのイノベーティブな視点だ。では、試乗会で特別に同乗させてもらったGLM×Rolandの近未来サウンドを視聴していいただこう。
スマホでの動画撮影だったため、よく撮れてはいないが、リアルタイムでのエフェクトの臨場感は感じてもらるはずだ。
今秋オプションとして発売される本ユニットは、随時アップデートを繰り返すとのこと。そのうち、オーナーによる編集も可能になるとのことだ。ということは、クルマが電子楽器になる日も近い!