威信をかけたコンセプトカーの行方
オートモービルカウンシルにて知られざるマツダのコンセプトカーを発見。後に登場する〈マツダ・RX-8〉の面影を感じる RX-EVOLV(エボルブ) は、〈RX-7〉と同サイズながら、快適なドライブを実現した4シーターのスポーツモデル。1999年の東京モーターショーで発表とのことだが、そのコンセプトもさることながら、我々が目を奪われたのはファンシーでいて機能的な “Y2K” の雰囲気。展示車両は真っ赤なペイントであったが、当初はパープルメタリックで登場し、曲線美を多用した造形と、ヘッドライトやインテリアのセンタートンネルにみる直線的なアクセントは、Y2Kデザインのエッセンスを色濃く感じさせる。フリースタイルドアと呼ばれる観音扉は、後にRX-8に採用され、その発想は今でも新鮮。さらにリアシートには折りたたみ式のチャイルドシートを搭載し、リアパッセンジャーへのユーティリティの高さも感じさせる。RX-8と比べ、そのプロポーションはセダンよりな方向性にも感じられるが、その当時、フォード傘下にあったマツダは、ロータリーエンジンといったクルマづくりの威信をかけて提案。しかし、フォルクスワーゲン・ニュービートルのデザインなどで知られる実力派カーデザイナーであり、当時、フォードの副社長にまで上り詰めた J・メイズ の指示により、従来のRX-7に通づるスポーツカー然とした方向へと軌道修正された逸話があるという。そんなエピソードを聞いてしまうと、妙に RX-8 に興味が湧いきてしまったのは我々だけだろうか?