This is a
Microlino!

アーバンモビリティ期待の星

  • 2020.3.6
  • TEXT SHOGO JIMBO
  • PHOTOGRAPH MICRO®

アーバンモビリティの必要性
都心での移動手段には、公共機関が優れているように思われがちだが、例えば、都内をクルマで移動する私にとって、パーソナルモビリティこそ最も効率的な移動手段とみている。その訳は、そもそも街の中心部に目掛けて張り巡らされている電車やバスの路線図とは違って、自ら舵を切れるパーソナルモビリティには無駄がない。渋滞や駐車場は?と思われるかもしれないが、渋滞を回避した動き方やリーズナブルなコインパーキングは意外と探せばあるもの。そう考えていくと、都市の移動において、フットワークを軽くさせる乗り物、つまりアーバンモビリティはもっと登場すべきと常々思っていた。そんな我々の思いが伝わったのかスイス発の「Microlino(マイクロリノー)」が、昨年の東京モーターショーにやってきた。ショー直前にいち早く取材させてもらえたのは記憶に新しいが、第二世代モデルへと進化した『マイクロリノー2.0』を発表。2021年の発売を前にプロダクションモデルへと進化したその仕上がりを紹介しよう。

特徴的なシルエットのボディは、アルミニウムとスチールを多様した専用設計。最新版のマイクロリノー2.0では、左右に伸びるLEDのストライプランプが加わり、丸いヘッドライトを瞳とみると、どことなくスマイリーフェイスに見える。一方、そんなキュートな面もみせるが、随所に感じさせるエレガントなデザイン要素が、ハイグレードな車種と並んでも引けを取らない点がアーバンモビリティといえる所以。ちなみに左右のヘッドライトの裏側はサイドミラーと一体型になっており、スマートなデザイン処理のひとつといえる。

レトロなだけじゃない
往年のバブルカーの代表格、BMW・イセッタを彷彿とさせるマイクロリノーは、電動4輪の二人乗り。街中での使用を前提に必要最低限にまとめられた仕様は、デジタルガジェットでいうスマホとPCの良いところを組み合わせたiPadみたいなモビリティ。EVというからには気になる航続距離は、125km〜200kmとデイリーユースには充分。家庭用コンセント等の普通充電で4時間で満充電できる。主なスペックは先代のプロトタイプと変わらずだが、最新のマイクロリノー2.0はデザイン面がより現代のレベルにアップデートされた印象が強く、随所に洗練さを感じさせる。では細かなディテールを下の4つの画像よりみていこう。

マイクロモビリティ界を牽引
マイクロリノーを手がけるMicro®は、子供用のキックスクーターで世界中で爆発的なヒットを遂げたスイス発のモビリティブランド。創業者のヴィム・ウーボタ氏と2人の息子、オリバーとメルリンによって2015年に開発がスタートしたマイクロリノーは、すでに17,000台にものぼる予約をすでに受けており、2021年のプロダクションモデル発売にむけ、イタリアを拠点に生産がはじまるそう。聞けば過去にランチア・デルタ インテグラーレといった名車を生産したこともある会社がパートナーに参画。昨年の東京モータショー取材時では、地産地消をコンセプトに掲げており、将来的にもしアジア圏のマーケットに力を入れてくる時は、アジアでの生産が始まる可能性もありえるだろう。

マイクロリノーを手がけるキーパーソンはこの2人。キャンバストップから顔をのぞかせるCOOのオリバーと、マイクロリノー2.0と同時に発表された注目の電動スリーウィーラーMicroletta(マイクロレッタ)に跨るCMOのメルリン。

アーバンモビリティの行方
日本国内でなら軽自動車で事足りると思われる方も多いかもしれないが、実は都心部での軽自動車の登録台数は極端に低い。また一時期、軽自動車よりもコンパクトなセグメントとして話題となった超小型モビリティ。rimOnOをはじめ、その登場に期待が高まっていたのだが、具体的な法整備は一向に進まず、特に耳寄りな情報は入ってきていない。ぜひともマイクロリノー発売前に何らかの進捗があることを願うが、仮にマイクロリノーが日本で乗れる日が来た時をイメージしてみよう。その洗練されたデザインが街を彩る存在として、シェアリングエコノミーを急速に加速させてくれるかもしれないし、一方、自分好みにカスタムすべくオーナーになる者も増えるかもしれない。リアリティある将来のフューチャーモビリティとして、突破口を切り開いてくれることを大いに期待したい。我々はマイクロリノーのみならず、引き続き、アーバンモビリティの可能性に迫っていきたい。

Microlino
https://microlino-car.com/en/microlino