CRAFT BEER
MESSENGER

クラフトビール メッセンジャー『TOKYO BEER PORTER』

  • 2015.4.4
  • TEXT SHOGO JIMBO
  • PHOTOGRAPH YUYA SHIMAHARA

アイコニックなツートンカラーのフォルクスワーゲン・タイプ2に乗って都内でクラフトビールを移動販売する『TOKYO BEER PORTER』。店主の中村有一郎さんは、聞けば人気雑誌をはじめ第一線で活躍していた元エディトリアルデザイナー。ならば、何故、クラフトビールをそれもヴィンテージバンに乗って移動販売する必要があるのか?

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クリエイションの根幹に携わるために
雑誌やカタログなど書籍のページデザインを担当するエディトリアルデザイナーとして活動をして10年半。読者や手に取る人に分かりやすくグラフィックを整理することがエディトリアルデザイナーの主な仕事だ。一方で、企画やアイデアのほとんどは担当編集や編集会議で決まり、レイアウトの素材が降りてくる。なので、中村さんはエディトリアルデザイナーでいる以上、事の発端であるクリエイションの根幹に携われないと常日頃から感じていた。
そんな中、プライベートな時間は自主課題として、プロダクトに寄り添ったデザインについて取り組んでいた。中でもビールのラベルデザインだけにとどまらず、瓶のフォルムやトータルコンセプトなどを意識的に知ろうとしたことをきっかけに、ビールの奥深い世界に入り込んでいくことに。中でも、大手メーカーの販売するビールではなく、小規模なビール醸造所で職人が丹誠込めて作り上げたクラフトビールは、ラベルデザインはもちろん、個性豊かな味に魅了されるようになったのだ。そんなある日、ビールを自家醸造する本と出会い、衝撃を受けたという。

クラフトビールとの関係性
調べてみると、都内で自家醸造をするブリュワーさんやマイクロブリュワリー(醸造所)でありながら飲食店でもある、いわゆる「ブルーパブ」が日本各地で誕生し始めていた。中村さんの頭の中は新たな緊急課題に直面。醸造の修行をいちからやってみたいと思ったが経験も無く、人脈もない。ならば人脈をつくるアクションを起こそう。そこで、学生時代に学校を休学してまで、のめり込んだバイクメッセンジャーのことを思い出したのだ。
「クラフトビールとメッセンジャーを組み合わせてみたら面白いのでは!?」
知る限りクラフトビールを移動販売するビジネスモデルはなかったはず。となれば、独学で積み上げて来た膨大なブリュワリー情報をもとに、クラフトビールのメッセンジャーを試みることを決意したのだ。

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いつか乗ってみたいクルマは、今、乗るべきクルマだった
クラフトビールを移動販売するにあたって、最初はカーゴバイクなどの自転車で販売することも考えたという。ただ、物理的な問題を考えると、圧倒的にクルマの方が有利。そこで、人生のうち1度は乗ってみたかったVWタイプ2に狙いを定めたのだ。というのも、たとえば、今から20年後にVWタイプ2を手に入れようとしたとしても、今でさえヴィンテージなクルマであるから、もはやその頃にはヒストリックな領域になってしまう。当然ながら価格も高騰し、クラフトビールの移動販売などもってのほかになっているだろう。となると、乗るべきタイミングは、今! ましてや、移動販売ともなると、天候や四季に最も左右されるタフなハードワーク。そんな中、1人でモチベーション高く続けるためには、子どもの頃から憧れていたスプリッドウィンドーのタイプ2は外せない1台となったのだ。偶然にも、初期のダブルドアで1963年式のモデルを発見し、手に入れることが出来たのだ。

B.I.Y精神にのっとて
理想のクルマを入手した次は、クラフトビールの味をいかに遜色なく、あらゆる場所で販売するための内装作り。ドラフトタワーや配管に至るまで、世界各種のクラフトビールを扱うには、ビール器具のメンテナンスのノウハウも知る必要があると感じた中村さんは、器具に関しては専門店から仕入れてはいたものの、肝心の施工については、ほとんんど自作。さらに、クラフトビールにとって、最も重要なことは、ビールの樽を定温で冷蔵しておくこと。なぜかというとビール酵母の発酵をある一定の温度で防がないとブリュワーの意図した味と変わっていってしまうからなのだ。とはいえ、通常、クルマの電力は移動時は特に不安定なもの。そこで、DIYならぬ、BIY(ブリュー・イット・ユアセルフ)なトライ&エラーを繰り返し、独自のクーリングユニットを組み合わせることに成功したのだ。

クラフトビールをもっと多くの人に味わってもらうために
計画通り、現在、中村さんは都内を中心にクラフトビールの移動販売に勤しんでいる。その目的は、もっと多くの人にクラフトビールの本物の美味しさを知ってもらうこと。とはいえ、いまや星の数ほどあるクラフトビール。その中からブリュワーの描いたビールの味のメッセージを汲み取って伝える役割を担う中村さん。ぜひ、そんな彼をみかけたら、ブリュワリー情報を聞きながら、お薦めクラフトビールを楽しんでみて欲しい。きっと、まだ知らなかったビールの世界が待っているはずだ。

□カーメディアでありながらクラフトビール屋さんに!
COMMUNE246内のDRIVE THRUエキシビジョンスペースにて、TOKYO BEER PORTERと共にクラフトビール販売に挑戦します。VWタイプ2にちなんで、目黒通りの老舗VWショップ『FLAT4』よりタイプ2のグッズ販売もあわせて販売!

『CRAFT BEER MESSENGER』 by Tokyo Beer Porter ※イベント終了しました!
【会期】
2015年4月 4日(土)
2015年4月12日(日)
【場所】
COMMUNE246
東京都港区南青山3-13
※エアードーム奥のDTエキシビジョンスペース
【時間】
12時~22時
※週末は、YOTTAの金時は展示しておりませんので、お気をつけください。
※クルマやバイクでのお越しはご遠慮ください。