Carby Tuckwell

DEUSのクリエイティブ・ディレクターに聞く過去、現在、未来

  • 2014.12.10
  • TEXT SHOGO JIMBO
  • PHOTOGRAPH YUYA SHIMAHARA

今やシドニーから世界中に新たなムーブメントを発信してやまないDeus Ex Machina(デウス・エクス・マキナ)。数年前に手にした一冊のフォトブックに衝撃を受けた。それはなぜかというと、DEUSのインスピレーション源が日本のストリートバイクカルチャーにあったからだ。さらに、そこへサーフカルチャーを融合して、いわゆる “バイカー” の域の留まらず、あくまで目的地を目指すマシンとして、一歩、先を行くスタイルを確立していたのだ。
そんなフィロソフィーをこれまで築き上げてきたクリエイティブ・ディレクター、Carby Tuckwell(カービー・タックウェル)氏。DRIVE THRUのローンチとほぼ同時期に日本上陸を果たしたのには、何かきっと縁があるはずだと期待に胸を膨らませインタビューに望んだ。
PHOTOGRAPH: YUYA SHIMAHARA, TEXT : SHOGO JIMBO

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DRIVE THRU(以下、DT):東京の印象はいかがでしょうか?

CARBY TUCKWELL(以下、CT):東京はいつ来ても、とてもエネルギッシュな都市だ。日本ほど常に高品質を保ち続けてる国はないんじゃないだろうか。一言で表現しにくいところもあるけれど、特別な都市であることは間違いない。常にインスピレーションに溢れているんだ。

DT:DEUSの5番目のストアに東京を選ばれたのはなぜですか?

CT:日本のクリエティブシーンにはいつも刺激を受けていたんだ。中でも日本のモーターサイクル・コミュニティーは、今でもDEUSの始まりといっても過言でない存在なんだ。だから、常に日本でのブランド展開を考えていたけれど、DEUS独自のブランド・アイデンティティを確立しないと、きっと日本では通用しないだろうと思っていた。ようやく、その実感を感じて、日本進出を決めたんだ。やはり10年という月日は、想像以上に時間がかかったと思っているよ。

DT:DEUSのアイデンティティを確立するために、どういう取り組みをされてきたのでしょうか?

CT:10年前に始めたシドニーのストアは、誰も足を運ばないような場所だった。その頃のストアには今ほどアイテムもないから、ストア内に友人のジャガーD-TYPEを展示していたりしたんだ。それから、ストアの隣りのパーキングスペースを使って、コミュニティーイベントを行うようになったんだ。パーキング・デ・レガンスやバイク・ビルド・オフがそれだ。今もそうだけど、ストリートテイストな新しい何かを常に探し続けているんだ。そんな中、モータサイクルとサーフィンをリンクすることを見つけたんだ。

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PHOTOGRAPH: DEUS EX MACHINA

バリでのDEUSブランドの展開は、実験的な取り組みだった。クールな印象のサーフィンと一般的に若い世代の乗り物のモーターサイクルをいかにリンクさせるか。結果的にその挑戦が日本進出へのポテンシャルを感じさせるきっかけになったんだ。

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DEUSのシールドロゴは、Carbyさんが一番始めに描いたロゴデザインという。シールドロゴに限らず、アレンジを加えていくつものロゴデザインを今もデザインし続けている。

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DT:Carbyさんの描くグラフィックがDEUSのアイデンティティを明確に表現しているように思えます。例えば、最近デザインされていたポルシェのグラフィックでは、どういった反響があるものでしょうか?

CT:今年9月にLAで主催したオールド・ポルシェのイベント「LUFTGEKÜHLT」では、ナローポルシェのコレクターとして有名なマグナス・ウォーカーなど、数十台の空冷911と356が集まったんだ。LAでは、DEUSからポルシェオーナーのニュージェネレーションが生まれようとしているんだ。ただ、アイコニックな911のシルエットをラフなタッチで描くことは、USAのポルシェからは歓迎されていても、ドイツ本国のポルシェからは、まだDEUSは認知されていないと言っていいだろう。日本へのアプローチのようにこれからのDEUSはカスタムモーターサイクルからクルマの領域にチャレンジしなくてはならないんだ。

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グラフィックの力

今回のインタビューの機会を得て期待を裏切らないお話をCarbyさんよりたくさん聞くことができた。DRIVE THRUの構想段階の時から、常に何か新しいスタイルを生み出そうとするDEUSの頑な姿勢には驚かされていた。そんな彼らの最大の魅力は、やはりCarbyさんの表現するグラフィックの素晴らしさだろう。
例えば、ポルシェといった一見、敷居が高くみえるクルマや、一方、若々しく思えるカスタムバイクへの距離感を、Carbyさんならではなグラフィックがグッと身近な存在へと導いている。いつしか忘れかけていたマシンへの憧れを呼び起こす何かが端的に宿っているのだ。それこそまさに、DEUS EX MACHNAの語源 “マシンに宿る神” ではないかと、インタビュー中に気がついたのだ。DEUSの日本上陸とDRIVE THRUのローンチが同時期だったのは、同じ志を持つ者として偶然ではないことを実感したのだった。

IMG_6866偶然にもCarbyさんの今、気になる1台として挙がったのはメルセデスベンツW124シリーズ! Buy a Carよりオーダー可能なプエブロベージュのARROWS CLASSIC LINEを熱心にチェックしている1コマだ。ぜひ、乗って欲しい1台だ。

SPECIAL THANKS: MATTHEW ROBERTS, ANIMAL BOAT, ARROWS